9月13日、民主党のSchumer上院議員とPelosi下院議員は、トランプ大統領と会食し、を検討することで合意した。
- DACA対象の若い不法移民を保護するための立法
- 国境警備のための立法(ただし、物理的な壁の建設は含まない)
共和党Ryan下院議長は、この合意が実現することはないと一蹴した。また、共和党McConnell上院議長は「大統領からの提案を待っている」として、積極的に動く気配はない。両者とも、債務上限問題でも存在を無視され、その地位にとどまれるかどうかが疑問視され始めている。
一方、これまでトランプ大統領を強力に支持してきた議員達、支援団体は、裏切りだと怒っている。
このDACA関連の立法が実現したとしても、中長期的にみてトランプ大統領の支持層が崩れかけている。今後の任期中、誰に支援してもらう考えなのだろうか。
※ 参考テーマ「移民/外国人労働者」
Source : | Health Insurance Coverage in the United States: 2016 (US Census Bureau) |
米国統計局から、無保険者割合の統計が公表された。ここまで定着した医療保険制度を変更するためには、国民的議論、すなわち、連邦議会、州政府全体で改めて議論しなおす必要があると思う。
- 無保険者割合は、昨年から微減となっている(2015年:9.1%⇒2016年:8.8%)(「Topics2016年9月19日 無保険者割合の低下継続」参照)。そろそろ低下のモメンタムが失われているようだ。逆に言えば、PPACAが導入されて、制度が成熟してきたともいえる。
- 保険プラン別にみると、企業提供プランの割合が相変わらず高く、55.7%となっている。その次に来るのが、Medicaid(19.4%)、Medicare(16.7%)。ここでもMedicaid拡充というPPACAの特徴が如実に表れている。
※ 参考テーマ「無保険者対策/連邦レベル」
Source : | What Should Employers Do Now that DACA Is Ending? (SHRM) |
DACAが段階的に終了することになりそうだ(「Topics2017年9月7日 DACA段階的終了」参照)。上記sourceは、これに伴い、企業側はForm I-9のアップデートを継続しておくべきだと推奨している。
Form I-9は、正式には"Employment Eligibility Verification"というもので、アメリカ国内で労働する資格があるかどうかを確認するための書類である。
DACAは、子供の頃に親に連れてこられた不法移民に労働の資格を賦与する制度で、これに基づいて雇用されている若者はたくさんいる。従業員側からDACAにより就労資格を得ていることを企業側に開示する必要はないし、企業側も質問してはいけない。従って、企業側はDACAが終了するからといって、積極的に従業員への対応をすることはできない。しかし、様々なリスクがあることはよく認識しておくべきだとされている。
Form I-9は、E-verifyに活用される大事なデータである。企業側は、違法雇用にならないよう、淡々と従業員のデータのアップデートをしていくのみである。
- 法的リスク
- 就労資格期間が終了しているにも拘らず、雇用を続けていれば、違法な雇用となってしまう。有効期間が終了していないどうかを定期的に確認する必要がある。
- かといって、就労資格が有効な期間に解雇したり、就職活動を拒否したりしてはいけない。⇒ 差別的扱いとして訴えられる可能性がある。
- DACAに基づく就労資格を持っているのかどうかを調べて、DACAの従業員だけに特別な対応をしてはならない。他の従業員と同じ対応が求められる。
- ビジネスリスク
- 有能な従業員を失う可能性がある。
※ 参考テーマ「移民/外国人労働者」