5月19日 Healthy Americans Act Source : Congress and Health Reform (LRP)

民主党の大統領選候補者選びが最終段階に入っている。2008年の大統領選、連邦議会選がどのような結果になるかはもちろんわからないが、結果如何にかかわらず、次の大統領のもとで、医療保険改革が真剣に議論されることになるのは間違いなさそうだ。

連邦議会上院では、2007年1月に提出された"Healthy Americans Act"(S. 334)が、静かに議論を再開している。同法案の強みは、超党派の支持を得ているところである。スポンサーとなっている議員の一覧を見ると、 と、なっている。要するに、両党から7人ずつ支持者が出ているのである。

上記sourceで、EBRIのDallas Salisbury所長は、現在の連邦議会で最も有力な法案、と評価している。法案の概要は次の通り。
  1. 全アメリカ国民に、民間医療保険プランを保証する。

  2. 企業が提供するプランについては、そのまま維持することを認める。

  3. 医療保険プランに関する価額を課税対象とする(W-2で源泉徴収の対象とする)。

  4. 連邦議会議員が享受しているレベルの医療保険プランを提供する。

  5. 予防、疾病管理などに重点を置くよう、個人、保険会社にインセンティブを与える。

  6. 医療費抑制策(10年間で$1.48Tの削減)を講じる。

  7. 転職しても加入プランはポータブルとする。

  8. 保険プランへの加入と雇用関係を切り離す。

  9. 現在医療保険プランを提供していない企業は、"Employer Shared Responsibility"を拠出する。この拠出金は、低中所得層の個人、世帯に対する補助金として利用される。

  10. 従業員は民間保険プランの購入を義務付けられる。もちろん、現在加入しているプランを継続しても構わない。

  11. 貧困レベルにある国民には、保険料全額を補助する。FPL100〜400%の国民には、所得に応じた補助金を提供する。

  12. 保険会社には加入申請の受理を義務づける。個人の病歴や健康状態により保険料を割り増ししたり、加入を拒否したりすることを禁じる。
どちらかと言えば民主党の提案を軸に置いた法案と見られる。市場原理を徹底するという思想は、あまり全面には出てきていないようだ。同法案の今後の動向を注目しておきたい。

5月15日 医療政策はObama Source : The Washington Post-ABC News Poll

上記sourceは、5月8〜11日の間に電話調査で行われた結果である。いまだClinton上院議員は撤退表明をしていない(15日時点)ので、Clinton上院議員に関する質問事項も用意されているが、実質は、Obama vs McCainである。

管理人の注目点は、次の3点。
  1. 民主党と共和党に対する信頼感を問うところで、圧倒的に民主党が勝っている。大統領選、連邦議会選とも、民主党優位の情勢が窺える。

  2. Obama vs McCainで、国内政策についてはObama上院議員の方が信頼を置けるとしている。特に、医療政策については、20%ポイント以上の差をつけている。両党の対立軸からいけば、民主党に軍配が上がっている。

  3. ところが、これまでのMcCain上院議員の経験を評価する意見も圧倒的に多い。
これから、これらの間のバランスをアメリカ国民がどう判断するのか、注目していきたい。