上記sourceは、現在議会で審議されている年金関連の法案の概要比較である。参考まで。
また、年金、医療、雇用関係で、審議されている法案の概要(Hewitt Associates)も、次の通り、リンクを張っておく。Health and Welfare Benefit Plans
CVSが、従業員の住宅取得の支援策を打ち出したというニュースである。ところで、こうした従業員の持家取得支援策をサポートしているのが、Freddie Macという住宅ローン債権売買会社である。ここは、1000人以上の従業員を抱えている企業に対して、こうした住宅取得支援策を導入する際のサポートを無料で行っているそうだ(サポート概要)。
CVSは、ワシントン周辺ではよく見かけるチェーン店で、もともと薬局だが、「薬局+コンビニ」というイメージで、ワシントニアンには馴染みのある会社である。
そのCVSが従業員に提供を開始したという住宅取得支援策の概要は、次の通り。
- ワシントン周辺の従業員約1000人を対象。将来的には、全国の従業員も対象に含める。
- 支援内容は、$500の贈与と、利子補助。これで購買力が約30%高まる。
- 一般従業員は、2年間、勤務態度が良いと評価された場合に対象となる。
- 薬剤師、責任者レベルの従業員は、採用と同時に対象となる。
- 支援策を受けた場合、最低3年間は勤続しなければならない。
- ワシントン・ボルティモアの従業員の持家比率を、65%から引き上げたい(全国では69%)。
- 支援策の目的は、リクルートと引き止めである。
7月29日、UFCWが、AFL-CIOから離脱した。Teamsters、SEIUに次いで、3つの離反である。反AFL-CIO勢力の現状は、次の通り。
7月26日、下院で「医療保険組合法案」が可決された。法案の正式名称は、"The Small Business Health Fairness Act of 2005 (H.R. 525)"で、投票結果は大差であった。上院では、同様の法案(S. 406)が審議されている。
上記sourceによる法案概要は、次の通り。
以上のように、賛成・反対意見が対立し、それぞれの支持グループも入り乱れている。その割には採決がパーティ・ラインで分かれず、圧倒的多数による可決となっているところが不思議である。もっとも、報道によれば、上院での法案審議(S.406)は、進展しないだろうと見られている(kaisernetwork)。そのため、下院議員達は、無保険者が少しでも減る法案内容なのだから、取り敢えず賛成しておこう、という行動を取ったものと思われる。
- 概 要
- 小規模事業者が"association health plans (AHPs)"(医療保険組合)を通じて医療保険プランを提供することを支援する。
- 医療保険提供以外の目的で設立されている団体が、一定の範囲で、メンバーに対して医療保険プランを提供できるようにする。
- 保険料、管理コストを抑制し、州政府の規制を緩和する。
- 州政府規制の緩和、労働省による監督
ERISAは、従業員のベネフィットについて、連邦法の州法に対する先占規定(preemption)を設けているが、その例外として、医療保険プランについては州政府が立法権、監督権を有している。従って、医療保険プランについては、そのプランが提供されている州法に従わなければならない。
上記法案は、一部を除き、連邦政府(労働省)に、規制・監督権限を移行することとしている。
主な規制は、次の通り。
- AHPsは、その規模により、50万ドル〜200万ドルの準備金を積み立てておかなければならない。
- 加入者によるクレームに労働省が対応するため、全ての適格AHPsは、「AHP基金」に拠出しなければならない。
- 差別禁止条項を設け、AHPsが、病気がちの申込者を拒否したり、高い保険料を要求したりしないようにしている。
- 州政府が保険給付を義務付けている特別な傷病(例えば、妊娠・新生児のための入院費、メンタルヘルス)については、州政府の法律に従わなければならない。
- 労働省による適格審査
- 当該組織に加盟している雇用主がすべてAHPへの参加資格を持っていなければならない。
- 参加資格のある被用者が、健康状態によって除外されてはならない。
- 従業員の健康状態や過去の保険給付実績によって、小企業ごとに保険料を設定してはならない。
- AHPの加入者は1,000人以上でなければならない。
- 法案への反対意見
- 特定の小規模企業だけがAHPsに参加することになるため、現存する小グループ保険市場に悪影響が及ぼされる。健康な従業員が多い小企業ほどAHPsを選択すると見られることから、リスクの高い従業員がAHPs以外の保険プランに残り、保険料が高まる可能性がある。
- 労働省が本当に効果的に監督できるかどうか疑問である。保険に関する規制・監督権限は、従来通り、州政府に残すべきである。市場をモニターするにも、州政府の方が適切である。
- 法案に反対している団体は、Consumers Union、American Association of Health Plans、National Governors Association、National Conference of State Legislaures、AFL-CIO。
- 代表的な反対意見はここ。
- 法案への賛成意見
- 逆選択に対するセーフガードは、明確に盛り込まれている。
- 労働省による監督の方が強力となる。また、連邦政府による一律の規制がかかることになる。
- 法案を支持している団体は、US Chamber of Commerce、National Federation of Independent Business、その他中小企業団体。ブッシュ大統領も支援している。
また、大事な視点は、州知事、州政府が反対に回っていることである。州知事、州政府は、州レベルでの皆保険制度または無保険者対策を構想しており、立法化に向けた動きも加速化している(「Topics2005年2月2日 医療再保険制度の役割:州政府の無保険者対策 」参照)。そうした状況で、小規模事業者の医療保険組合だけを連邦レベルの労働省管轄にしてしまうことに、大きな抵抗があるのもうなづける。関係者との調整もできていないという点で、やはり法案の成立にはまだまだ道程が遠いという印象を持たざるを得ない。