3月30日 HPの新CEO決定 Source : HP names Mark Hurd Chief Executive Officer and President (HP)

Hewlett-Packardの新CEOが発表された(「Topics2005年2月10日 HPのCEO解任」参照)。Mark Hurdという人で、長くNCRで勤めた後、同社CEOを2年弱経験した人である。

これで、当websiteにおけるHP関連コメントは、ひとまず終了としたい。

3月29日(2) PBGCによる引き取りが相次ぐ Source : United plans to shrink pensions (Business Insurance)

航空会社の確定給付年金プランを、PBGCが相次いで引き取っている。まず、2月2日、US Airwaysの年金プランを引き取ることを宣言し、3月11日には、UALの地上勤務員の年金プランも引き取ることを宣言した。

プランの資産状況が悪くなる前に早目に引き取ってしまいたいというのが、PBGCの従来の方針である。以前、当サイトで紹介した、UALのパイロット年金については、まだ決着がついていないようであるが、PBGCとしては、こちらも早期に手当したいところであろう。

3月29日(1) サプライサイドの医療費抑制策 Source : Taking a Walk on the Supply Side: 10 Steps to Control Health Care Costs (The Commonwealth Fund)

医療費抑制のためには、窓口負担、免責額の設定や、予防・検診の普及などの需要サイドの抑制策と、診療側の行動を誘導するサプライサイドの抑制策がある。上記sourceは、このサプライサイドの抑制策について10項目を列記したものである。

  1. 高コストの患者の入院を減らす。高い治療費のかかる病気、心臓病や糖尿病などの患者については、日常からのモニター、健康指導などにより、なるべく入院に至らないように努める。

  2. 同じ症状の患者について、可能な限り同一の診療行為を行う。(医療の標準化)

  3. 過剰診療を減らす。

  4. 医療過誤に伴う治療費について、保険給付を行わない。

  5. 薬価の値下げ交渉を行う。

  6. 保険プランの標準化により管理コストを抑制する。

  7. 事実に基づく医療行為を普及させ、検査、治療のガイドラインを設ける。

  8. かかりつけ医を義務付ける。

  9. 重複診療を回避する。

  10. 情報テクノロジーを活用する。
こうしたサプライサイドからの抑制策は、何もアメリカのみに当てはまるものではなく、ほとんどが日本でも当てはまるものであり、特に、高齢者医療の抑制のためには早急に手当すべきものである。

ただし、問題は、サプライサイドの抑制策のためには、診療側に何らかのインセンティブがなければならない。インセンティブなしにこうした行動をとれといっても、掛け声倒れに終わるだけである。医療情報のデジタル化などはその典型で、これだけ個人でもPCが普及している中、レセプトがデジタル化されないという、不合理な状況がいつまでも続いている。

診療側にインセンティブを持たせるためには、どうしても「経営」意識を持たせるような報酬体系が必要である。そうした意識の導入に徹底的に抵抗しているのが日本医師会であり、そのサポートを受ける自民党社労族である。

こうした構造を直さない限り、診療側にインセンティブを持たせるという課題は、なかなか解決を見ないであろう。社会保険で収入を得ている医師は、税金で給与を得ている国家公務員と同様とみなし、政治活動を禁止でもしない限り、だめなのではないだろうか。

3月28日 アメリカ人も働き過ぎ? Source : Overwork in America (Families and Work Institute)

ITバブルとその崩壊後、アメリカ人の働き方、家庭とのバランスが変わりつつあるという。確かに、アメリカ人の中には、ワーカ・ホリックという名称に相応しい働き方をしている人達がいる。ただし、その割合がどの程度かは、よく確かめる必要がある。日本でも、「日本人は働き過ぎ」という人達がいるが、本当に働き過ぎているのは、都会の一部のサラリーマンに過ぎないのではないか、と私は思っている。

以下、上記sourceのポイントをまとめておく。調査対象は、全米のサラリーマン1003人で、電話インタビューによる。
  1. 約3分の1のサラリーマンが、慢性的に働き過ぎとなっているとみられる。

  2. 働き過ぎの結果、そのサラリーマン達には、次のような傾向がみられる。
    1. 仕事上のミスが多くなる。
    2. 経営者に対する怒りを感じる割合が高まる。
    3. 同じような働き方をしていない同僚に対する反感を抱く。

  3. 働き過ぎのサラリーマンほど、次のような傾向を持っている。
    1. ストレスを強く感じている。
    2. 慢性的なうつ状態になっている。
    3. 健康状態に問題がある。
    4. 自己管理に関心を持たない。
アメリカ人が働き過ぎと感じる背景には、コミュニケーション・テクノロジーの進化、国際競争の激化、判断の迅速化から、常に仕事のことが頭から離れない、または離れないような状況になっていることがある。

それは日本でも同じこと。職場のeメール、スケジューラは、自宅でも見られるし、ニュースは瞬時に入手できる。そんな中で仕事から自分の家庭生活を隔離することは、とても難しくなっている。ますます自己管理、セルフ・コントロールが重要な時代になっている。

3月22日 公的年金民営化のオリジナル Source : In Texas, A Model For Bush Proposal (Washington Post)

上記sourceは、Bush大統領の公的年金個人勘定創設案のオリジナルが、テキサス州のいくつかの郡で採用されていた民間年金プランであったと報じている。

公的年金制度は、1935年に創設されたが、その15年後に法律が改正され、地方自治体の公務員については、公的年金制度に加入するかどうかの選択肢が与えられた。1983年に、再び法改正が行われ、新たに公的年金制度から離脱することは禁じられたが、その前に離脱を選択した自治体の職員数は、現在、500万人にのぼるとされている。

上記sourceで紹介されている、テキサス州Galveston Countyは、1981年に公的年金から離脱することを決定し、代わりに次のような民間プランに加入している。

  1. 従業員拠出 6.13%
  2. 雇用主拠出 7.8%
  3. 物価上昇率を除いて運用率4%保証
  4. 退職時に、一時金受取と年金受取の選択
  5. プラン運用はFirst Financial Benefits of Houston

このような完全積み立て方式の民間プランでは、高中所得層は勝ち、低所得層は負け、という傾向があると言う。拠出する金額が多くなれば、分散投資、高リターン投資が可能となるわけだから、それはむしろ当然だろうと思う。

上の記述を見れば、現在Bush大統領が提案している個人勘定創設とは若干趣旨が異なるところもあるが、いずれも程度の問題であり、本質的には官の役割を縮小すると言う点で共通していると考えるべきだろう。このようなプランにBush大統領が感化されたことは間違いないようだ。