7月8日(3) 会社に留まる理由、辞める理由 Source : Top Five Reasons People Stay in Their Jobs

アメリカ人が職場に留まる理由ベスト5と、辞める理由ベスト5が紹介されている。当websiteとしては、いずれも納得のいくポイントだ。

そうした中、ちょっと面白いフレーズがあったので、引用しておく。
"More than half of Americans think that people who spend a long time at one job are loyal and enjoy their work and their company. On the other hand, people who change jobs frequently were described as not knowing what they want to do or as just looking to make more money."
最近の傾向として、長く勤めることにポジティブな考え方を持っている人が多くなっていることが読み取れる。尤も、「長い」といっても、アメリカ人の「長い」は10年余りだそうだが・・・。

7月8日(2) 年金受給権と株主責任 Source : MCI, WorldCom's Ebbers Settle 401K Suit for $51 Mln (Bloomberg)

WorldCom(現MCI)と従業員の間の年金を巡る訴訟で、和解が成立した。内容は上記sourceにある通りである。あとは、州裁判所の認可を待つばかりとなった。

本件は、ERISAに基づき、WorldCom従業員が、Fiduciary Duty違反で同社及び幹部に対して損害賠償を求めたものである。MCIが和解に応じて過去を早く清算したいとの方針をとることは理解できる。

しかし、株主平等の原則はどうなってしまうのだろうか。DCプランで同じようにWorldCom株に投資していても、同社従業員ならERISAで受給権が保護され、その他の労働者は保護されないということになる。

もちろん、投資家としての訴訟はあり得るし、実際に集団訴訟も起こされている。しかし、同じ株主でありながら、プロテクションを持っている人と持っていない人が厳然と存在するという事態はやはりおかしいのではないだろうか。もし、従業員の自社株での運用に対して、予めERISAによる保護が与えられるのであれば、従業員の株主としての権利は劣後に置かれるべきなのではないだろうか。

これは、ESOPでも同様の議論が生じ得る。今後の冷静な議論を待ちたい。

7月8日(1) ストック・オプションの利用者 Source : Stock Options: National Compensation Survey Update (DOL)

アメリカ労働省が、ストック・オプション(SO)を提供されている労働者の実像を調査している。上記sourceを見ると、アメリカ労働者でストック・オプションを提供されている労働者の特徴は、
といったところである。

インテルなんかがSOの費用化に反対していると、イメージぴったりということだ。そうなると、新規産業、新興企業の妨げになるという主張は、少し的外れということになる。

7月5日 企業倒産とPBGC Source : United's Pensions on Increasingly Shaky Ground (The New York Times)

政府保証の道を閉ざされたUALは、市場からの資金調達を余儀なくされた(「Topics2004年6月29日 UAL債務保証申請は却下確定」参照)ため、さらなる企業年金の見直しを迫られている。

上記sourceによれば、現在、UALは4つの年金プラン(DB)を運営している。それぞれの特徴も併記すると次のようになる。

加入者
拠出現金額
給付水準
PBGCによる保証
その他
パイロット
最小
最高
×
運用収益が高く、対象者が少ないため、拠出額が少なくて済んでいる。
整備士
最大
×
長期勤続者が多いため、受給権者が多い。
管理職
利益を代表する組合がない。
フライト・アテンダント
最低
年金給付額削減に既に合意している。

こうした状況を見て、UAL側は、次のような方針を採ると見られている。
パイロット年金は、給付水準は高いものの、運用がうまくいっており、実際の拠出負担は大きくない。また、パイロット年金、整備士年金に手をつけると、PBGCの保証がカバーしきれないために抵抗が大きい。安全運行にも支障が出かねない。そこで、PBGC保証でカバーされ、代替の効きやすい、フライト・アテンダント年金、管理職年金の順に給付削減または廃止に着手する。
このような見通しに関するコメントは次の通り。

  1. "倒産(Chapter 11)→DB年金プランの縮小・廃止→PBGCによる積立不足負担"という循環が、航空業界で連鎖的に発生している。United Airwaysが大幅に年金を見直すことで再建に成功した。UALが年金プランを残したまま再建計画を立てても、再建計画が甘いと見られてしまう。

  2. このような連鎖は、既に鉄鋼業界で発生した。今は航空業界、そしてやがて、自動車メーカーに伝播するのではないか。

  3. 同じUALの中で、職業別の年金制度が存在しているために、組合は協調することができず、ほとんど分裂状態になってしまっている。企業単位の組合でないことのもろさを露呈してしまっている。

  4. PBGCによる保証があるために、水準の低い順に整理されてしまう可能性が高い。もし仮に、PBGC保証が存在しなければどうなるか。給与水準、年金給付水準ともに高いものから給付削減、整理するというのが一般的なのではないだろうか。PBGC保証により守られるべきプランが逆に整理の対象になってしまっている。こういうところにも、PBGCの弊害が現れている。

7月4日 大統領選一騎打ち 

いよいよ大統領選が一騎打ちの様相を呈してきた。

Kerryの資金調達が、依然好調で、総額でもBushに迫りつつあるそうだ(Washington Post)。

他方、Washingtonのサークル内でも、Kerryが勝った場合に備えて、安全策を取ろうとする動きが出てきているそうだ。様々な団体が、自分たちの主張を通すために、たくさんのロビーストを雇って活動している。そのロビーストの採用において、民主党系の採用が増えているというのだ(Washington Post)。

こうした動きを見ていると、単なるブームだけではない、着実な底流の変化が感じられる。