Topics 2003年1月1日〜10日
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8日(1) Bush大統領の経済対策(労働関係)
8日(2) GE労組のストライキ
8日(3) UALの賃金削減交渉
8日(1) Bush大統領の経済対策(労働関係) Source : President Bush Taking Action to Strengthen America's Economy (White House)
1月7日、Bush大統領は、演説を行い、経済対策案を発表した。
経済対策案の骨子は次の3点。
- 2001年減税策の前倒し
- 配当課税の撤廃
- 失業者対策
これらのうち、労働市場に直接関連するのが、3点目の失業者対策である。この失業者対策には、2つの柱が含まれている。
第1は、失業保険給付の延長である。通常の給付期間は26週間であるが、不況期間の特別措置として、給付期間を13週間延長していた。ところが、昨年12月28日でその特別措置が期限切れになってしまい、13週間の延長が認められなくなってしまった。これを元に戻して、13週間の延長措置を継続しようというものだ。
これについては、新年新たに召集された第108議会で既にアクションが取られている。
第2は、失業者の就職促進を目的に、新たに『Personal Re-employment Accounts』を設立するという提案である。
その概要は次の通り。
- 失業者一人あたり$3,000を提供する(失業給付に上乗せ)。
- 使用目的は、職業訓練、交通費、引越費用等就職活動に関連する費用を賄うこと。
- 13週以内に再就職した場合には、勘定の残額をボーナスとして提供する。
- 対象者は推定120万人。
- 総額は約36億ドル。
- One Stop Career Center Systemまたは既存の州政府失業者窓口で提供する。
お金はかかるけど、あくまでも失業者個人にbenefitが及ぶように考えられているところが、いかにもアメリカ(共和党政権)らしい。
8日(2) GE労組のストライキ Source : Union at G.E. Plans Strike on Health Fee (New York Times)
GEで33年ぶりの大規模ストライキが行われる可能性が高まっている。今のところ、来週2日間だけの罷業のようだが、経営側との交渉がうまくいかなければ、さらに長期のストライキに発展する可能性がある。
原因は、医療保険料の従業員負担分の引き上げだ。2003年の医療費も2桁の伸びが予想されている。これに伴い、GEは、従業員の保険料負担を引き上げるよう提案したが、組合がそれに反発しているとのことだ。組合側の主張は、GEの収益をもってすれば、医療費上昇分は充分吸収できるはずだというのだ。
表面上は出てきていないが、組合側の主張の裏には、GEの前会長Jack Welchが退職後に受け取っている巨額のbenefits(Topics 2002年10月31日「Executive達のseverance pay」参照)に対する反発があることは間違いない。今後の交渉の行方を見守りたい。
8日(3) UALの賃金削減交渉 Source : United Pilots Agree To Cut Wages 29% (Washington Post)
United Airlinesとパイロット組合との間で、29%の賃金削減に関する合意がまとまった。次は客室乗務員組合との交渉となるが、UAと組合の間で賃金削減交渉がまとまらなければ、UALは労働協約の破棄を求めることになる。最後通牒をちらつかせながらの交渉となっているため、パイロット、客室乗務員は、おそらく応じざるを得ないだろう。しかし、整備士組合はそう簡単にはいかない。彼らは、航空業界以外でも就職先はたくさんあると考えられているからだ。組合同士の意見がまとまらないために、すべての労働協約が破棄されるという可能性があるのだ。
UALのESOPに関する論調(Topics 2002年12月10日「UALの破産とESOP」参照)について、さらに追加したので、ご参照ください。
年末・年始のお休みをいただいて、こんな所に行ってきました。
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