3月10日 WI州議会上院 法案可決
Source :Wisconsin Senate Advances Bill Opposed by Unions (New York Times)
9日夜、WI州議会上院は、労組の権利を制約する法案を可決した(「Topics2011年2月27日 WI州議会下院 法案可決」参照)。上院民主党議員14名のうち13名が州外に脱出しているにもかかわらず、上院共和党が採決を強行したようだ。

あとはWalker州知事自身が署名するばかりである。

※ 参考テーマ「労働組合」、「地方政府年金」、「無保険者対策/州レベル全般

3月8日 パンドラの箱
Source :Obama's DOMA Decision Points to Yawning Gap in Retirement Benefits for Same Sex Marriages (NorthJersey.com)
Obama政権が『DOMA順守の立場で弁護することをやめる』と宣言したことにより、『じゃあ、州法で正式に同性婚が認められれば、公的年金やMedicareにおける配偶者の権利も賦与されるのね』と、同性婚推進論者が訴えている。企業年金にも影響がでてくる可能性がある。

DOMAを守らないということになれば、当然のように出てくる議論である。司法省はObama大統領とよく議論した末の結論であると強調しているが、Obama大統領はSSAとはよく議論したのだろうか。財務省とはどうなのだろうか。

Obama大統領には、社会に大きな分裂をもたらすかもしれないという覚悟が整っていることを望む。

※ 参考テーマ「同性カップル

3月6日 DOMA:下院共和党の力ない抵抗 
Source :House Republicans Move to Defend Marriage Act (New York Times)
先にObama政権が、『今後、司法の場において、DOMA順守の立場で弁護することをやめる』と宣言した(「Topics2011年2月24日(1) DOMA順守を放棄」参照)ことに対し、下院共和党は、『DOMAを順守すべき』とのステートメントを発表した。

当然、決議案を提出し、採決を行うという選択肢もあった訳だが、 といった理由から取りやめたようだ。このようなところに、今期の下院共和党議員の特徴が表れている。

※ 参考テーマ「同性カップル

3月5日 MD州同性婚法案 一歩先進 
Source :House panel passes same-sex marriage bill (Washington Post)
MD州の同性婚認可法案が一歩前進した。4日、州議会下院の委員会で採決され、12 vs 10で可決され、本会議に送付された。

先月、州議会下院で可決された際は、リベラル色のより濃い下院では採決がスムーズに進むものとみられていた。ところが、法案の共同提出者であった議員が躊躇し始め、中でも、Tiffany T. Alston (D-Prince George's)下院議員は、 と、徹底抗戦をして見せたのである。そのために、めったに投票を行わない委員長投票により、ようやく必要な12票を確保した、という事態に至った。

Alston下院議員は、同性婚は正しいと思っているが、州民の大半は反対していることを認識し、宗旨替えをしたようである(Washington Post)。

同法案の下院での採決は来週行われる見通しであるが、まだまだ紆余曲折がありそうである。

※ 参考テーマ「同性カップル

3月4日 MA州の苦悩 
Source :Massachusetts tackles health care costs (NCSL)
先日、"exchange"を導入した州の失敗例をまとめた際、『MA州も失敗への道筋を辿っているのかもしれない』と書いた(「Topics2011年2月28日 "Exchange"失敗の教訓」参照)。そうしたMA州の苦悩を上記sourceは紹介している。

MA州では医療費の高騰が続いており、州政府歳出の40%は医療費で占められており、中位所得家庭は給与の3分の1を医療費に回さなければならなくなっている。医療政策の専門家は、「医療費抑制のためには、2つの条件が同時に満たされなければならない」と述べている。
  1. コスト効率を高めるような診療報酬体系を作り上げる

  2. 医療機関との交渉になる診療報酬を厳しく抑制できるよう、州政府が交渉力を持つ
しかし、医療サービスを市場メカニズムで提供するアメリカでは、優良医療機関は絶大な価格交渉力を有している。実際、MA州でも、いくつかの優良医療機関を保険給付対象からはずすことはできない、といわれている。医療機関側が交渉力を持っているのである。

これに対して、州政府側は、行政指導により、なんとか保険料引き上げを抑制しようとしている。当面はそうした行政指導も若干の効果を持つだろうが、保険会社と医療機関の間で診療報酬が決まってくる中、医療機関に交渉力があれば、やがて「医療費上昇→保険料上昇」という連鎖が再開する。

ここでもキーワードは『交渉力』のようである。

MA州の「今」は、連邦医療保険改革法の「将来」である。

※ 参考テーマ「無保険者対策/MA州

3月3日 Medicaidの裁量を要望 
Source :Governors Seek Help on Medicaid Costs (New York Times)
Obama大統領は、州知事に歩み寄ったつもりだったが、州知事の側はほとんど評価していない(「Topics2011年3月1日 州知事に歩み寄り?」参照)。同じ民主党のMA知事ですら、「ほとんど関心がない」とつれない姿勢である。

これは、大統領が、2014年から本格化する医療保険改革法の執行面で譲歩を見せようとしたのに対し、州知事側は、目の前にある財政赤字削減のためにMedicaidを何とかしてくれ、という切実な要望があるからだ。

実際、PA、WA、AZ各州は、既に低所得者向けの州独自のプログラムを縮小、廃止している(New York Times)。

州知事側は、Medicaid加入資格を州政府で独自に決めさせてもらいたいと思っているが、Obama政権はそれを認めない。低所得者層の無保険者数が増大し、せっかくまとめた医療保険改革法が実効を伴わなくなることが明らかだからである。

そうしたにらみ合いの状況が続けば、州政府としては、
  1. Medicaid診療報酬を引き下げる
  2. 医療以外の公的サービス(例えば教育、交通)を削減する
しかなくなる。

※ 参考テーマ「無保険者対策/州レベル

3月2日 OH州はスト禁止提案 
Source :Ohio Set to Vote on Union Rights (New York Times)
OH州議会上院共和党は、1日、州政府職員労組のストライキを禁じる法案を提出した。早ければ、2日にも上院で採決する可能性があるという。同州も、州知事、州議会上下両院とも共和党が押さえており、労組に対する圧力は続くものと思われる。

また、Indiana州でも同様の議論が行われているという。ここも知事、両議会とも共和党である。

火元となったWI州では、上院民主党議員が州外に逃亡し、議会が開けないようにするという異常な事態に至っている。

※ 参考テーマ「労働組合」、「地方政府年金

3月1日 州知事に歩み寄り? 
Source :Remarks by the President and the Vice President to the National Governors Association (The White House)
先月28日、Obama大統領は、National Governors Associationとの会合に臨み、医療保険改革法の規定について、州政府の独自性を認めるとの発言を行った。なお、州知事達が気にしているMedicare、Medicaidにも触れたものの、具体的な改革の方向性は示されなかった(関係箇所には下線を付した)。

州政府の独自性を認めようというのは、上院超党派で提案されている法案を支持する内容である。New York Timesの記事によれば、

医療保険改革法と同じレベルで
  1. 保険加入者をカバーできる
  2. 総合的で購入可能な保険プランを提供できる
ことを証明でき、さらに連邦政府に追加的な財政負担を求めないということであれば、保険加入義務を含めた医療保険改革法の例外措置を州政府に認める、というものである。

仮にこの上院案が可決されたとしても、下院共和党は医療保険改革法の修正ではなく、廃止を求めており、下院で可決される見込みは薄い。

それでも、このObama提案に、VT州知事は、「公的単一プランで例外措置を勝ち取るぞ」と一人気を吐いているところが注目である。

※ 参考テーマ「無保険者対策/連邦レベル